エフェクチュエーション | 読書メモ#9
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Nov 19, 2023
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まとめ
- エフェクチュエーション
- 熟達した起業家に対する意思決定実験からから高い不確実性に対して予測ではなくコントロールによって対処する思考様式
- サラス・サラスバシーが提唱
- 架空のプロダクトに対しての意思決定実験
- 対象
- 個人・法人問わず、1社以上を起業し、創業者としてフルタイムで10年以上働き、最低でも1社以上を株式公開した人物
- これまでの経営学ではコーゼーション(因果論)が重視されてきていた
- エフェクチュエーションの特徴
- 「目的」ではなく、手持ちの「手段」から生み出せる効果(effect)を重視する
- 「予測」ではなく、「コントロール」によって対処する
- 予測や計画を重視するコーゼーション(因果論)が通用しない、不確実な状況でも有効
- 特別な天才の思考法ではなく、どんな人でも学習して身につけられる
- 5つの法則
- 手中の鳥(Bird in Hand)の原則
- 「目的主導」ではなく、既存の「手段主導」で何か新しいものを作る
- 「A bird in the hand is worth two in the bush」に由来するもの
- 3つの問い
- 自分は何者か?(=何によって覚えられたいか?)
- 自身の特徴、選好、能力
- 他の人たちと比べてユニークな特性だけでなく、自分がこうありたいという主観的な自己認識も含む
- 自分は何を知っているのか?
- 自身の教育、専門性、経験
- 自分は誰を知っているのか?
- 自身のネットワーク
- the strength weak ties
- 雇用機会、昇進、賃金にとって、強い絆よりも、弱い絆として知られる、頻繁に連絡をとらない関係の方が有益である
- LinkedInで実装実験検証も行われている
- 許容可能な損失(Affordable Loss)の原則
- 期待利益の最大化ではなく、損失(マイナス面)が許容可能かに基づいてコミットする
- どのような発想が必要か
- 「本当に必要な資源はどのくらいか」を考える
- 新たな資源投入を必要としない行動から着手する
- 出来るだけ一歩の幅を小さくする
- 固定費を変動費か出来ないかを考える
- 新たな資源投入が必要なタイミングを先延ばしにする
- 「自分は何を失っても大丈夫か」を考える
- 損失可能な許容範囲は自信や動機の強さに連動する
- 許容不可能な損失はパートナーシップの可能性を示唆する
- 行動しないことの機会損失も考慮する
- レモネード(Lemonade)の原則
- 予期せぬ事態を避けるのではなく、むしろ偶然をテコとして活用する
- when life gives you lemons make lemonadeの格言に由来する
- 偶然を生かす4つのステップ
- 予期せぬ事態に気づく
- 同じ現実に対する見方を変える(リフレーミング)
- 予期せぬ事態をきっかけに「手持ちの手段(資源)」を拡張する
- 拡張した「手持ちの手段(資源)」を活用して新たに何ができるかを考える
- レモネード(Lemonade)の原則は許容可能な損失(Affordable Loss)の原則を補完する
- クレイジーキルト(Crazy quilting)の原則
- コミットする意思を持つ全ての関与者と交渉し、パートナーシップを築く
- コーゼーションのパートナーシップ vs エフェクチュエーションのパートナーシップ
- コーゼーション: ジグゾーパズル
- エフェクチュエーション: パッチワークキルト
- 飛行機のパイロット(Pilot in the Plane) の法則
- コントロール可能な活動に集中し、予測ではなくコントロールによって望ましい成果を帰結させる
- エフェクチュエーションが有効に機能する問題空間
- ナイトの不確実性(Knightian uncertainty)
- 目的の曖昧性
- 選好が所与ではない、もしくは秩序立っていない
- 環境の等方性
- どの環境に注目すべきか、あるいは無視すべきかが定まっていない
- エフェクチュエーションを身につけるには
- 座学ではダメ、実践で行う
- 許容可能な損失を上司と握っておくことが大事
- エフェクチュエーションとコーゼーション
- 異なる見方であるが、エフェクチュエーションはコーゼーションを否定するものではない
- 両者は補完的に作用する
- 料理を例にとる
- ある人を思い浮かべて一番最適なメニューを考え、必要な食材を調達して料理を行う→コーゼーション
- 冷蔵庫の中身の食材から作れる料理を決める→エフェクチュエーション